壁の中のグレード

壁の中のグレードとは、構造体であり、断熱の仕方であり、通風の考え方です。

日本の古い建物ではよくあることなのですが、建物が長生きし、人間も快適に暮らせるかどうか、の鍵である断熱がほとんどされていません。

日本ではなぜか断熱、という概念が生まれなかったようです。強いて断熱と言えるものは、分厚い藁葺き屋根や縁側でしょうか。

藁葺き屋根は夏の強烈な日差しを少しでも緩和するために分厚く、軒は大きくとられ、一方で壁はほとんど引戸で解放すれば風が駆け抜ける、という夏の快適さを追求した作りです。

縁側はただの憩いの場ではなく、戸外に面する窓や障子と、室内を分ける襖などの間に空気層(→縁側)を作ることで、外の冷たい空気を囲炉裏だけで暖房していた室内に対し、効果が多少はあるんだろうと思うけれど、何とも頼りない断熱材として働いていました。

暑さは我慢できないけど、寒さは我慢できる、と言うことなんでしょうか・・・

壁の中というのは、仕上をしてしまえば一切見えなくなってしまうので、そこにお金をかける、という感覚が分かりにくいかもしれません。でも本当は、快適な生活をするために、健康的に暮らすために、建物を長期にわたって使用できるものにするために、最も大事なところです。

断熱や通風がきちんとなされていない建物は、夏は暑く、冬は寒い。結露がおこる。その結露で壁はカビカビ。カビが構造体を浸食する。カビが放出され体内に入る。と、とても怖いもの。暑さや寒さは我慢したり、エアコンをがんがん使えば何とかなるけれど、カビ現象は長く住んでみないとわからないし、壁の中に繁殖しているカビが人体にどのような影響を与えているか、実際にはわかりにくいもの。

それでも家と人間の健康を考えれば、絶対に外せないのが、断熱です。

ヨーロッパでは、日本と違って古い建物の方が値段が高い。新しい建物の方が高いのは、日本ぐらいだそうです。

私はパリとストックホルムで生活をした経験があるのですが、パリは東京より寒いのに、家の中は大抵そこそこ暖かく、快適でした。最後に暮らした家は18世紀の古ーい使用人部屋だったので、窓廻りが隙間だらけで寒かったですが・・・

そしてストックホルムでは、氷点下18度という日も多々ありましたが、家の中はすばらしく暖かかったです。そうすると、激寒の外に出るのも億劫ではなくて、体の調子も良かった。パリの最後の家や東京では、家の中で体が冷えきって、外に出るのが億劫で籠りがちになり、ますます血流が悪くなって更に体が冷える、という悪循環でした。

ヨーロッパは日本より寒い地域に大部分があるためか、昔から断熱に対してはきっちり対応しています。北に行けば行く程とてもきっちりしている。あちらの雑誌を見ると、窓辺に植物やオブジェが並んでいる写真をよく見ますよね。あれは、出窓というわけではなく、壁の厚みを利用したものです。今まで私が見てきたところだと、大抵30センチは壁の厚みがある気がします。

これはかなり立派な方だけど、窓廻りを見ると壁の厚みがわかります。

これはかなり立派な方だけど、窓廻りを見ると壁の厚みがわかります。

これも開口部廻りを見ると・・・

これも開口部廻りを見ると・・・

一方日本では最近の建物で、せいぜい厚くても20センチ。

ただ厚ければ良い、というものでもないのですが、きちんと断熱された建物は、長生きできる要素があり、適切なメンテナンスを行って行けば、数世代に渡って使うことができます。

既存の建物でも、構造体がある程度しっかりしていれば、壁の中のグレードを上げることは可能です。新築よりは費用も押えられるし、ゴミも減る。無理して壁の中がスカスカの家を新築で作るよりは、あるものを有効に使う方がよっぽど快適。

今まで日本では地震をイイワケにしっかり作った建物を長く使う、ということが敬遠されてきましたが、経験も知識も技術も上がっている今、壁の中のグレードが高い建物を少しでも増やしたいと思います。

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